2016.08.19
hifumi creatingの開発ベース vol.2(後編)
さっそくですが・・・
前回のコラムhifumi creatingの開発ベース vol.2(前編)の続きです。
【鱗(うろこ)】
をテーマに書かせてもらっていますが、今回は本題となる【ルアーの鱗模様】の話です。
前回、魚の鱗には、違い、意味があり、【鱗に対する意識がある】という話でしたが、
では、ルアーの鱗模様はどうなんでしょうか?
少し書いてみます!
実は、ルアーの作成において、この鱗模様はボディー完成後からの追加工となることがほとんど。
当然、意図しなければ、鱗模様は入りません。
もちろん、加工に時間もお金も発生してきます!
ではなぜ?
わざわざ鱗模様を入れているのでしょうか?
「本物っぽく見せる為」
「独自の鱗模様によってメーカー色を出す」
これもあると思います。
でも、鱗模様によってルアーが大きく変化する事もあるのです!
まず1つ目は、
【輝きの違い】
ボディーに鱗模様=凹凸があることでボディーに受けた光が乱反射します。
同じホログラムシートを貼っていても、違うように見えるのが面白いところです。
(もちろん、輝き重視で鱗模様無しの選択も・・・ありだと思います!)
2つ目は、
【塗装の強度アップ】
鱗模様がルアー表面に凹凸を与えるので、塗装の際にスベスベボディーと比べると塗膜の密着率が上がります。
これにより、ルアーの塗装が剥がれにくくなる効果も期待できるのです。
そして、3つ目となるのが、
【アクションの変化】
表面の鱗模様(凹凸)による、受ける水抵抗が変化。
繊細な動きのルアーほど、この影響が出てきます!
当然、模様の溝が深ければ深いほど、その影響は大きくなります。
鱗模様の効果を簡単にまとめると・・・
【鱗模様による輝きの違い】
【塗装の強度アップ】
【アクションの変化】
要するに、これらが、鱗模様の有無によって差が出てくるのです。
スパイス的な微妙な要素かもしれませんが、これも使い方次第です。
(上手く使えば、効果あり。間違えれば、残念な結果も)
〈本物の鱗の意味、ルアーの鱗模様の効果〉
あくまでも、個人的な独自の捉え方ではあるのですが・・・
どうだったでしょうか?
こんな風に考えているので・・・
もちろん、手掛けるhifumi creatingルアーの鱗模様。
かなり、こだわってます!
今回、sherryで表現したかったのは、ベイトの弱々しい輝き。
なので、鱗模様は間隔がほとんどない微細なもの。
これを側線上部だけ入れて、下部は模様無しの2パターンの輝き(反射)を組み合わせるものです。
しかも、アクションへの影響、スライド幅の伸びを考慮して・・・
「ホログラムが途切れないほどのごくごく浅い鱗模様」
これを、完成イメージとしました!
しかし、
これが言うのは簡単ですが、量産で実現するのはかなり難しい!
繊細なタッチが要求されます。
深い溝加工では、問題にならない事でも、この微妙な浅い模様を金型で実現するのは困難です。
加工の数値設定だけではなく、最後は人間の感覚による「手作業」が大事になってきます。
まさに、紙一重の調整となるのです。
そして、実際に・・・
金型へ鱗模様加工→プラスティック成型→実物確認→金型分解→鱗模様深さ調整→金型組み立て→プラスティック成型→実物確認→
*何度も繰り返しながら、調整してもらったのです。
どうですか?
かなり、手間ですよね💦
量産工場の人達の 職人魂。
その技術とモノ造りに対するスピリッツに感謝、感謝です。
結果。
sherry独自の鱗模様による輝き!
この弱々しい光を放つ為に、いろんな思い、尽力があったという話でした。
是非、sherryの鱗模様をじっくりと見てみてください!
鱗模様を指で撫でても、ほとんど引っかからない感触。
蛍光灯など、光に透かしても、鱗の線で切れていないホログラムシート。
それでいて、よく見れば刻まれている鱗模様。
そこには、モノ造りに対する職人魂
入ってると思います!
最後に・・・
*魚も成長すれば、鱗も大きくなります。当然sherryの鱗も成長してます!
実は、sherry80,95,125 各サイズで鱗模様のピッチ(間隔)を変えてるのです!